1 私が毎日スーパーで出会う高齢の女性がいる。杖をつきながら、ゆっくりと、ゆっくりと歩いてくる。
前かがみで歩かれるので、見ていると転倒しないかひやひやする。いつも一人で来られている。食材で
いっぱいのかごを見て、「お持ちしましょうか。」とたずねると、「大丈夫です。」という答えが返ってく
る。おそらく80歳は超えているだろう。顔には無数の「生きてきた証」が刻まれている。

2 その女性が横断歩道を渡っている時だった。「歩けないババアは外に出てくるな。」横断歩道で停止して
いるバイクに乗っている若い男性からだった。
3 人間は加齢によって、身体機能が衰えてくる。例外なく誰でもそうなる。その男性が今見ている女性の
姿は「未来の自分」の姿なのだ。未来の自分に対して「心無い言葉」を言っている。

4 自分が人にやったことは、自分に返ってくると言われる。彼が歳を重ねた時、彼にはこの言葉が返って
くるだろう。「歩けないジジイは外に出でくるな」。

「あした」のわたし