1 今日のよしきさんはテンションが高い。バスに乗車すると、いつも以上に右手を大きく上下に
ふり続けた。
2 手がほかの方に触れないよう注意するが、制止はしないようにしている。ありのままを見てほ
しいからだ。
「笑って見ている人がいる。」
「不思議そうに見ている人もいる。」
「眉をひそめている人もいる。」
3 それらの視線は、よしきさんの隣にいる私にも注がれる。よしきさんは特別な人ではない。私
たちと同じ人。少しだけ特徴のある人。
4 どんな視線を感じても、どんなに笑われても、私たちはここに立ち続ける。よしきさんのため
に、よしきさんの家族のために、そしてみんなで歩けるみらいのために。