1 私は近親者が入所している施設に向かうタクシーの中にいた。施設からいくつかの物を持ってきてほし
いとのリクエストがあったからだ。施設の担当者は当然のことのように、「これとこれと」が必要と電話の
向こうから事務的な声が聞こえてくる。私たちが面倒を見てあげているんだから、早く持ってくるように
とも聞こえた

2 介護事業者ってそんなに「エライ」人たちの集まりなの。電話をしながら「いくつもの言葉」を飲み込
んだ。

3 その日は実家のガス管からガスが漏れていることが発覚したので、実家でガス会社と対応している最中
の電話だった。向こうはそんなことは知る由もない。介護事業者にとって介護は「仕事」だ。しかし家族
にとっては介護は「生活」なのだ。生活を守らなけれな「本人」を守ることばどできない。

4 施設に荷物を届けたとき、担当者から「これで全部ですか。」と聞かれた。とことん「事務的」だ。私
は「いくつもの言葉」を飲み込み、何も答えなかった。

「仕事」と「生活」