本当に行きたかったところ

1 ガイドヘルパーとして彼を自宅まで送り届ける途中で、毎週木曜日、あるファース

トフード店に立ち寄ることになっている。彼はそれをとても楽しみにしていた。

2 その店は同じ地区に2店舗あり、繁華街に近いA店、少し離れたところにあるB

店。私は前の担当者から、本人はA店に行きたがるけど、A店は混雑するので、時間が

読めないから、B店に行くよう勧められていた。自宅に送り届ける時間は決まっている

ので、時間が読めないと困るのだ。

3 私はアドバイスどおり、いつもB店に行っていた。ところが、ある木曜日に、彼が

「こっち、こっち」と私を誘導しながら、私の前を早足で歩いていく。いつもの道とは

違う。そう思ったが彼の誘導に従った。

4 着いたのはA店だった。彼はずっとA店に行きたかったのだ。彼は見るからに楽し

そうだった。それを見ているとこちらも嬉しくなる。

「今日はこれで良かったんだ。」

そう思った。

5 ガイドヘルパーは、本人を見守るだけではなく、安全に自宅まで送り届けなければ

ならない。時間の制約があるのはわかる。でも本人の好きなようにもさせてあげたい。

6 制約と自由の狭間でいつも心は揺れ動いている。

 

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